「安いオイルと高いオイル、何が違うの?」
「10W-40とかSLって何を意味してるの?」
オイル売り場やネットショップで、ラベルを見ながら首をかしげた経験はありませんか?
エンジンオイルは、ただエンジンを滑らかに動かすための油ではなく、
エンジン内部の摩耗を防ぎ、寿命や燃費にも直結する重要な“エンジンの血液”です。
しかし、粘度や規格、種類など選ぶ基準がいくつもあり、初めての人にとってはなかなかハードルが高く感じられるもの。
そこで、このページを見ていただくだけで、エンジンオイルの物知り博士になれるはず。
では、さっそく紹介していこうと思う。
2輪用・4輪用
まず、エンジンオイルには2輪用と4輪用の2種類ある。
4輪用のエンジンオイルには、昨今、環境配慮型の低燃費エンジンが増えてきたことで、エンジンオイルはフリクション(摩擦抵抗)を減らした性能が求められるようになった。そこで、金属同士の摩擦を減らす効果を持つ「摩擦低減剤」が加えているものが主流になった。
しかし、この「摩擦低減剤」は2輪には悪影響を及ぼす危険性がある。なぜ、適していないのか?
それは、変速機付きバイク(ミッション車)は「湿式多板式クラッチ」を採用している。このエンジンオイルに「摩擦低減剤」が含まれていると、クラッチがとてもすべりやすい状態になる恐れがある。したがって、クラッチがつながりにくく運転しにくくなってしまう。
以上のことから、2輪用と4輪用の区別はしっかりつけておくは大切である。
4ストローク用・2ストローク用
バイクには、「4ストローク」と「2ストローク」という2種類のエンジン作動サイクルというものがある。これは何かというと、エンジンの中で行われている工程の違いである。
間違えたエンジンオイルを入れて走行してしまうと、エンジンがかからなくなってしまったり、エンジンが焼き付いたりと故障の原因になったりする。
エンジンオイルを買うときは、表記をしっかり確認して選ぶことが大切だ。
JASO規格
JASO規格とは、エンジンオイルの品質を示す規格である。品質というのは、主にエンジンオイルの粘度の違いを表している。
いろいろな種類の規格があるので、以下にまとめた。
「MA」
ミッション車である場合は、この「MA」規格のものを選ぶとよい。これにより、クラッチの滑りにくさが変わってくるので、自分のバイクに合う規格を選ぼう。
・「MA1」:小型・中型のマニュアルバイク
・「MA2」:大型のマニュアルバイク
「MB」
この規格は、オートマスクーターに適している規格である。オートマスクーターは、クラッチがないので、摩擦特性の低いこの規格を使用することで、燃費の向上にも期待できる。
「FA~FD」
この規格は、2ストロークバイクの場合に適合するものである。2文字目のA~Dは等級を表しており、Dが一番上の等級である。
これらのJASO規格は、バイクそれぞれのエンジンの種類で異なる。自分のバイクに合う規格を選ぶことで、故障を防ぎ長持ちさせることができるだろう。
ベースオイル
このベースオイルは、バイクをどんな目的で使うかによって異なる。
鉱物油
通勤・通学用がメインならこの「鉱物油」を使用することをおすすめする。
鉱物油は比較的低コストで入手できるので、通勤・通学用で使用するぐらいであれば、これで十分だ。ハードな使い方をせず、定期的にオイル交換をするのがおすすめ。
化学合成油
サーキット・高速走行をするなら「化学合成油」を使用することをおすすめする。
浸透性・潤滑性・耐熱性が高く、エンジンの能力を最大限に発揮させる超高性能オイル!値段は少し高めだが、よく走らせるバイクならこのオイルを使うとまちがいない!
部分合成油
ツーリングなどを楽しむなら「部分合成油」を使用することをおすすめする。
鉱物油と化学合成油のちょうど中間に位置するオイル。サーキット走行対応ほど高性能なものは必要ない人や、通勤・通学用でも最大限エンジンの性能を引き出して走行したい人におすすめ。
SAE規格
自分の住んでいる環境によって、エンジンオイルは違ってくる。環境に合った粘度のオイルを選ぶことによって、エンジンの性能を最大限生かすことができる。
環境によってとは、主に気温の違いで異なってくる。SAE規格で最初に示されている「10W」「15W」などの数字は、オイル粘度が維持できる寒さを表したものである。数字が低いほど寒くてもオイルが固まりにくいことを示す。「10W」では-20℃、「20W」では-10℃前後まで対応できる。
また、SAE規格の右側の数字は、高温時に粘度を保てる温度を示す。数字が大きいほど高温でも粘度を保つことができる。この粘度を保てることによって何がメリットなのか?それは、エンジンを焼き付きから守ってくれるというメリットがある。
このように、住んでいる環境でもオイルの種類は違ってくるので、表示をよく見て選ぶと良いだろう。
API規格
この規格では、エンジンオイルのグレードが決まってくる。頭文字をSとし、その後に続くアルファベットで、品質をランキング付けしている。「SA」から「SP」までのグレードがあり、「SP」が最高品質である。
この「API規格」というものの審査基準はどう決まっているのか気になりますよね?これは、オイルにおける洗浄性、せん断安定性、酸化安定性、錆・腐食・摩耗防止性などで決まっている。
以上のことを踏まえて、エンジンオイルを選ぶと間違いないものに出会えるはず!自分のバイクに合ったエンジンオイルを見つけて、オイル交換をしてみよう!
オイルの役割
そもそもエンジンオイルの役割は知っていますか?
エンジンオイルは、エンジン内部の金属パーツが滑らかに動くよう、潤滑油としての働きを担っている。
その潤滑油としての働きは、主に5つの役割に分類されるので、以下を参照してみよう。
潤滑
潤滑は、部品の損傷、出力低下、エンジンの焼き付きなどを防止してくれる。もし、この性能が弱いと、密着した金属同士がこすれ合い、パーツが傷つく。さらに、摩擦が生じるとエンジンの焼き付きの原因にもつながる。
冷却
冷却は、オーバーヒートやエンジンの焼き付きなどを防止してくれる。エンジンは燃焼ガスにさらされ、高温になる。そこで、エンジンオイルがピストンを冷やすことによって、オーバーヒートを防いでくれる。
密閉
密閉は、出力低下などの防止をしてくれる。エンジン内部は、外に空気が漏れない気密性の高い構造だ。そのため、オイルは外気と内気を遮断し、ガスのパワーを最大限活用できる役割を果たす。オイルはわずかな隙間にも入り込んでくれるので、より気密性を高めてくれる。
防錆
どうしても金属は錆によって、部品の損傷や腐食が進んでくる。錆の原因は、湿気と空気中の酸素が原因で進行してしまう。しかし、オイルがあることによって、そもそも空気に触れない状態になっているので、錆びる心配はなくなる。
洗浄
エンジン内でもしオイルがないとすると、金属同士の摩擦や焼き付きが原因で、汚れが蓄積してしまう。しかし、オイルは各々の原因を解消し、エンジンはそのオイルを循環させている。結果、定期的にオイルを交換すれば、エンジンはとてもきれいな状態を保てることになる。
以上の5つの役割を理解していただけたでしょうか?
これらを知ることによって、あなたはもうエンジンオイルの物知り博士になれたはず。
ぜひ参考にしてみてね!
また、オイル交換のやり方を他に出しているので、気になったらこちらを参考にしてみてね。
https://himaare-bike.com/column/recommended_engine_oil-b/
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